読書の木

本屋大賞『そして、バトンは渡された』3分でわかる!あらすじと感想|血縁を超えて“家族”になる物語

血のつながらない親たちに育てられた少女が、
“家族とは何か”を静かに見つめながら、大切なものを受け取っていく物語。

「家族の意味がわからない」「誰かに優しさをもらいたい」と感じたときに読みたい小説『そして、バトンは渡された』。
本記事では、あらすじ・感想・類似おすすめ本・読者タイプまで詳しく解説します(読了時間およそ5分)。


高校生の優子は、親の再婚を繰り返し、名字が何度も変わってきた。
実母との別れ、不器用な義父、謎めいた継母・梨花――。

血のつながらない家族たちと暮らしながら、優子は問い続ける。
「家族って何だろう。本当の親って誰なんだろう。」

やがて彼女は気づく。
家族をつなぐのは、名前でも血でもなく、受け継がれる“想い”だと。

泣きたくなるほど優しいラストが待つ、
“家族の意味”を問い直す人すべてに届けたい物語。


この本を読む前に知っておきたい4つのこと

  • 「バトン」は血を超えて受け継がれる想い
    親の離婚や再婚で名字が変わり続けた少女・優子。
    その中で受け取ってきたのは、家族からのささやかな優しさ。
    「バトン」の意味を知れば、何気ない場面が胸に沁みます。
  • 家族小説なのに重くない
    複雑な家庭を描きつつ、哀しみより日々の温もりをそっと紡ぐ物語。
    家族ものが苦手な人ほど、きっと優しさに癒されるはず。
  • 多視点で描く“家族のかたち”
    優子や、どこか影を抱えた義母・梨花の視点が交差し、「家族って何だろう」という問いが自然に立ち上がります。
  • 読後、心にそっと灯りがともる
    優子が最後に渡す“バトン”には、血縁を超えた人と人の想いが。
    ページを閉じたあと、胸の奥にあたたかな光が残ります。


🫶こんな人におすすめ

  • 夢を追う誰かを、そっと支えたことがある人
    応援する側の不安や迷いが、静かな言葉で丁寧に描かれていきます。
  • 感情を抑えて頑張った経験がある人
    何も言わずに耐えていたあの日の自分に、物語の中でふと重なる瞬間があります。
  • “空気”に従うことに違和感を覚えたことがある人
    応援席という場所に漂う見えないルール。その中で揺れるひとりの母の姿が、心に沁みます。
  • 家族を描いた物語が好きな人
    親と子の距離、想い合い、すれ違い。その関係性の変化が、リアルで切ない。
  • 声にならない気持ちを抱えている人
    誰かに話せなかった思いが、物語の中でそっと拾われていくような読後感があります。
  • 静かに泣ける小説を探している人
    感情を揺さぶりながらも、余韻の残るラストが、心をやさしく包み込みます。


📚この本が好きならこちらもおすすめ

『かがみの孤城』辻村深月

【あなたは、心の中の孤独を誰かに見せたことがありますか?】
学校に行けなくなった——そんな私の前で、鏡が光った。
辿り着いたのは、願いを叶える“鍵”が眠るという、秘密の城。
そこに集められたのは、私と同じように心に傷を抱える七人の子どもたち。
彼らを導くのは、狼のお面をかぶった「オオカミさま」。

それぞれの痛み、秘密、孤独が、少しずつ解けていく。
ただ一つの願いのために、私たちはこの場所で出会った——。

涙の先で、私たちは“本当の居場所”を見つける。
これは、心をふるわせる、希望の物語。

『カフネ』阿部暁子

【あなたは、大切な人を失った痛みを、誰かに話せますか?】
最愛の弟を突然失った29歳の野宮薫子。心を閉ざし、生活もままならない彼女がたどり着いたのは、家事代行サービス「カフネ」。そこにいたのは、弟の元恋人・小野寺せつな。不器用で無口な彼女が料理を通して人の心をほどいていく姿に、少しずつ薫子の心にも変化が訪れる。

喪失と癒しの先に見える、ささやかな再生の物語。
これは、あなたの心をそっと温める、優しいヒューマンドラマ。


『そして、バトンは渡された』を読んで ──はるのぽつり。

この本を読み終えたとき、心の奥にじんわりと温かいものが広がりました。
「家族」ってなんだろう。血のつながりって、どこまでを指すんだろう。
本当の家族って、名前や戸籍に書かれた線の中だけで決まるものじゃないんだなと、そっと気づかされる物語でした。

誰かを大切に思うこと、誰かに手を差し伸べること。
それは、特別な才能や強さが必要なことではなくて、
ただ、その人を大事に思う気持ちから生まれるんだなと感じます。

登場人物たちが手渡してきたのは、たしかに「バトン」で、
それは大事な何か——優しさだったり、勇気だったり、時には寂しさや痛みかもしれません。
でもその全部が、「生きていく」ということをそっと支えてくれるんです。

読後、なんだか誰かに「ありがとう」と言いたくなる。
そんな不思議で、優しい余韻をくれる一冊でした。

よかったら、この物語の感想のバトンを、あなたもそっと受け取ってみませんか?
きっと、あなたの心にも、小さな温もりが届くはずです。