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『世界でいちばん透きとおった物語』ネタバレなし|あらすじと感想|口コミで広がる小説|電子書籍化できない理由


🌳『世界でいちばん透きとおった物語』

『世界でいちばん透きとおった物語』が、少しでも気になってここへ辿り着いたあなたへ。

もし可能であれば——
どうかこのままページを閉じて、すぐに本作品を手に取ってみてください

この物語は、“何も知らずに読むこと”こそが、最大の体験になる作品です。

ただ、それでも「話題の理由を少しだけ知りたい」「電子書籍化されないのはなぜ?」と気になった方だけ、この先をそっと読み進めてください。

著者: 杉井光
出版社:新潮文庫nex
刊行年:2023年文庫版


📖あらすじ


校正者の母を交通事故で亡くして以来、藤阪燈真は、将来にも自分にも向き合えないまま日々を過ごしていた。
そんな彼のもとに届いたのは、亡き父であり、大御所作家・宮内彰吾の“幻の遺稿”を探してほしいという依頼。
編集者の霧子と共に父の足跡をたどる中で、彼はまだ知らなかった“家族の記憶”と向き合っていく。

あの人は、どんな人生を生き、何を残そうとしたのか。
それを知ったとき、読者の心にも、ひとつの「物語」が届くだろう。

絶対に電子書籍化できない——
読んだ人たちの口コミだけで広がり続ける、本物の“読書体験”。

この作品は、“読む”という行為そのものが、物語の一部になる。
あなたが読み終えたとき、物語はようやくひとつの形になる。


この本を読む前に知っておきたい5つのこと

  • なぜ電子書籍化されないのか——その理由が、物語の核心です。
    “紙の本でしか成り立たない”という言葉の意味、ぜひ最後まで読んで確かめてください。
  • 遺稿探しを通して、父と自分を見つめ直す旅。
    亡き作家・宮内彰吾。その知られざる一面と複雑な人間関係が、少しずつ明かされていきます。
  • ミステリとしても、ヒューマンドラマとしても異色。
    文章の“形”にまで意味が宿る、読書という行為そのものを問い直す一冊です。
  • 物語を追いながら、どこかに違和感を覚えるかもしれません。
    でもその違和感こそが、この本にしかない“感覚”なのです。
  • 読了後、思わずこう呟きたくなるはず。
    「これを作った人たち、全員どうかしてる」
    それくらい、狂気と覚悟に満ちた“読書体験”がここにあります。


🫶こんな人におすすめ

  • 伏線が丁寧に回収される物語に心をつかまれる人
     → 物語のすべてが、静かに一つに繋がっていく快感があります。
  • ネタバレできない作品にこそ価値を感じる人
     → 読み終えた人とだけ分かち合える、静かな“共犯関係”が生まれます。
  • 「読めばわかるから」でその作品を読みたくなる人
     →本当に読めばわかります。とにかく読んでください。


📚この本が好きならこちらもおすすめ

ごめんなさい。

類似作品を紹介するのがこの欄の役目なのですが、正直に言うと、この作品に似た読書体験を、私は今まで一度もしたことがありません
だからこそ、「この本が好きな人におすすめ」と言える他の作品が、どうしても思い浮かびませんでした。

それでも、もし今後“この読後感に近い何か”に出会えたなら、必ず追記します。

まずはぜひ、読んでみてください。
言葉では伝えきれない衝撃があります。


『世界でいちばん透きとおった物語』を読んで ──はるのぽつり。

最近、仲良くなった友だち——
と、はるが一方的に思ってるだけかもしれないけれど、
でも、本当にそう感じている友だちが、おすすめしてくれた一冊だった。

その子が「いろんな意味で凄……ってなる作品」って、本のタイトルを教えてくれた瞬間、
はるは、絶対に読もうって決めたの。
だって、普段とても優しくて温かい言葉を使うその子に、どうして電子書籍化できないか聞いたら「いや、本当にこの本は電子書籍化絶対無理。読んだらわかるし、紙でしか味わえない。」って言ったから。
包み込まれた言葉じゃなくて、真っ直ぐな言葉だった。

映像化ができない小説っていうのは聞いたことがあったけれど、電子書籍化はできないっていうのは初めて聞いた。

だから、すぐに買った。

それでね、すぐに読んだんだ。
ほんとに、すぐ。
「読もうと思う」じゃなくて、「今すぐ読みたい」って感じだった。

そして、「電子書籍化できない」の意味がわかった瞬間「えっぐい……」だった。
口から出たそのひとことに、全部の感情が詰まってた。
言葉にしようとすればするほど、語彙力が遠ざかっていった。

読みやすくて、パラパラとめくっていたはずのページが、読み返そうとしたときには、やけに重く感じた。

「絶対に電子書籍化できない」
「ネタバレ厳禁」
そんな言葉ばかりが並べられていた意味を知ったとき、本当に鳥肌が立った。

たぶん、こんな本、人生で何度も出会えるものじゃない。

この本を生み出した作家さん、編集さん、出版に関わったすべての人たち、
本当に、頭おかしいんじゃないかって思うくらい、最高の読書体験をありがとうございました。
それはもちろん最大級の尊敬と愛を込めて。

この作品を知らないままだったら、本の読み方を知らずに生きていって、もっと味気のない読書をする世界だったのかもしれません。

ネタバレはできない。
説明もしづらい。
だからこそ、私はこう言うしかない。

だから私は、今、こうしてこの記事にこの言葉を残します。

とにかく読んで。
できれば、今。

語らなくてもいい。語れなくてもいい。
読んだ人にしかわからない何かが、きっとそこにあるから。

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