はるの声の木

読書好きのための“あらすじの書き方”完全ガイド|あらすじと読書感想文の違いも

読書感想文は書けるけど、あらすじってどう書けばいいの?
――そんな声を、読書好きの方からよく聞きます。

でも実は、「感想」と「あらすじ」には、はっきりとした違いがあるんです。
そして、あらすじを自分で書けるようになると、本との関係が深くなる。

このページでは、読書をもっと味わいたい人のために、“あらすじ”という読書の地図の描き方を、やさしく紹介します。


🌱 「あらすじ」と「感想文」の違いって?

  • あらすじ:物語の流れを客観的に整理したもの
  • 感想文:その物語を読んだ自分の気持ちを言葉にしたもの

たとえば──

📖 あらすじは、地図。
📖 感想文は、その旅を終えた後の“日記”。

地図を描くことで、自分がどこをどう通って、どんな気持ちで旅をしてきたかが、よりくっきり見えてくるのです。


📚 なぜ「あらすじ」を書くの?

「誰かに紹介したい」という気持ちもあるけれど、
本当に大事なのは――自分のために書くこと。

あらすじを書くと:

✔ 物語の流れが整理される
✔ 記憶に残りやすくなる
✔ 感想が言葉にしやすくなる
✔ 読み返したときに、読書の深まりを感じられる

読書は“読む”だけじゃなくて、“思い出す”ことで、もっと自分の中に根づいていくものなんです。


📝 実際に書いてみよう

あらすじは、質問に答えるだけでも自然に形になります
完璧じゃなくても、素直な言葉でOK。

🖊️ あらすじを書くための7つの質問

完璧にまとめようとしなくてOK。
まずは、7つの質問に答えてみることから始めましょう👇

💭 主人公について

  • 主人公は誰?
     (例:「ある女子高生」「人付き合いが苦手な中学生」など)
  • 主人公はどんな特徴がある?
     (性格・悩み・日常など)
  • 舞台はどこ?
     (時代・場所・社会的背景など)

💭 物語の流れについて

  • 主人公は何をしている?または、しようとしている?
     (目標・葛藤・日々の行動)
  • どんな出来事がきっかけで、物語が動き出す?
     (出会い、喪失、変化など)
  • 物語を通して、主人公はどう変わっていく?
     (気づき、成長、関係性の変化など)

💭 物語の本質について

  • この物語が問いかけている内容って、どんなこと?
     (読後に残った疑問、考えさせられたテーマなど)

上の答えを、自然な言葉で3〜5行に並べるだけで、
“あらすじ”はあなたの中からちゃんと生まれてきます。


❗ よくある“あらすじのミス”に注意しよう

書き慣れないうちは、ついやってしまいがち。

  • 登場人物が多すぎる
     → 主人公と主要人物だけでOK!
  • ネタバレしすぎる
     → ラストの“意味”は、ぼかして余韻を残そう
  • 感想になってしまう
     → 「泣いた」「感動した」は、感想文で!

☁️ 完璧じゃなくても、“書いてみる”ことに意味がある

どれだけ言葉がつたなくても、
それでも「あらすじを書こう」と思ったあなたは、もう十分に素敵です。

本を読んだ自分と向き合うことで、
読書体験が“記憶”から“関係”に変わっていきます。

✅ よくある質問(FAQ)

Q1. あらすじって、どれくらいの長さが理想?
→ 目安としては、ブログや読書ノートなら210〜320字くらい。

Q2. ラストまで書いていいの?
→ 基本的には、結末の“出来事”は避けて、意味だけに触れるのが◎
 読者の楽しみを奪わずに、作品の“余韻”を伝える形にすると好印象です。

Q3. 小説じゃなくてエッセイや詩でもあらすじは書ける?
→ はい、書けます。ただし、「ストーリー」ではなく「テーマ」や「伝えたいこと」を
 軸に整理すると、あらすじとしてまとまりやすくなります。

Q4. 作者の意図とズレたらどうしよう?
→ あらすじは読者の視点で捉えた地図なので、
 多少のズレはあっても問題ありません。
 むしろ、あなたがどこに注目したかが、あらすじの“個性”になります。

Q5. 書いてはいけないことってある?
→ “これはNG!”という厳しいルールはありませんが、
 ・登場人物を全員出す
 ・ストーリーを全部語る
 ・「面白かった!」など感想と混ぜる
 といった点は、読みにくくなる原因になることが多いです。


この記事を書いて ──はるのぽつり。

はじめて読んだはずなのに、
どこか懐かしいと感じた場面がありました。

うまく言葉にできなかった気持ちも、
誰にも言えなかった想いも、
その物語のなかに、たしかに“自分”を見つけていた。

でも、時が経てば少しずつ忘れていきます。
登場人物の名前も、結末の展開も、
あれほど胸を打ったあの台詞でさえ、
ふいに思い出せなくなることがあります。

それでも、不思議ですよね。
“あの本を読んだ日”の空気や、
ページをめくる手が止まらなかった夜の記憶だけは、
どこかで、やわらかく残っていたりするのです。

あらすじを書くことは、
そのかすかな記憶を、そっと拾い集めること。

「ここに私はいた」
「この言葉に、私は揺れた」
そうやって言葉にしようとする時間は、
あなたと物語が、もう一度つながる時間なのかもしれません。

誰かのためじゃなくていい。
うまく書けなくたっていい。
完璧じゃなくていい。

ただ、「この本を、好きだった自分がいた」
その想いを、少しだけすくい上げてあげてください。

きっと、
物語のほうからも、あなたを思い出してくれます。